INTERVIEW

製造工程はそのままにCO2を94%削減!鉄を知り尽くした技術力で挑む、業界の「ゲームチェンジャー」

事業内容:
鉄製・ステンレス製鋼管の製造
エリア:
福井県
所在地:
福井県敦賀市莇生野町73-20
URL:
http://www.kantokukinzoku.co.jp/
課題
価格競争から脱却する「新しい武器」
定番の角パイプ製造において、他社との価格競争から脱却し、企業価値をさらに高めるための新しい武器(付加価値)が必要でした。
導入背景
既存工程のままCO2を94%削減
西日本鋼管からの提案により、既存の製造工程や設備を変えずに脱炭素製品(GXスチール等)へ移行。西日本鋼管の支援でCO2排出量の可視化に成功し、業界の注目を集めています。

はじめに、事業について教えてください。

当社は、基本的には鉄製の角パイプを製造している会社です。和歌山工場では角パイプに特化して製造を行っており、福井の本社側ではステンレス鋼管なども扱っています。和歌山工場には製造スタッフがおり、全体では13名から15名ほどの体制で製造から工程管理までを行っています。

当社の強みは、鉄を知り尽くしていることです。もともとはパイプを作る機械そのものを作っていた背景があり、鉄をどう加工するかというところから技術を積み重ねてきました。お客様が「この用途で使えればよい」「できるだけ安くしたい」と考えている場合でも、目的に合わせて材料を選び、形にできることが当社の技術力だと考えています。

西日本鋼管とは、現在どのような関係性ですか?

当社がメーカーとして製造を担い、西日本鋼管様は流通・販売を担う関係です。当社は定番の角パイプを製造し、西日本鋼管様がそれを販売している形になります。製造と販売で役割は分かれていますが、現在では脱炭素の取り組みを通じて、単なる製造・販売の関係を超えた連携が生まれています。

脱炭素・低炭素パイプの取り組みは、どのように始まりましたか?

きっかけは西日本鋼管様からの提案です。当社は月間でおよそ800トンから1,000トンの鉄パイプを製造しており、サイズレンジとしては細いものから厚みのあるものまで扱っています。その中で、低炭素のパイプを作れないかという相談がありました。

最初に脱炭素の話を聞いた時は、「自分たちの会社がどのような形で関われるのか」というところから考えました。脱炭素と言われても、当初は物理的に炭素を減らすようなイメージがあり、何をすればよいのか分かりませんでした。ただ、話を聞いていくうちに、当社がやること自体は大きく変わらないという点が非常に大きいと感じました。設備を増やしたり、人を増やしたりする必要がなく、今の製造体制のままスタートラインに立てる。それなら取り組めると感じました。

定番商品だけを作っていると、どうしても価格競争に巻き込まれます。そこから脱却するための武器として、脱炭素・低炭素製品には大きな可能性があると考えています。

製造現場では、どのような管理が重要になりますか?

メーカーとして重要なのは、トレーサビリティをしっかり管理することです。製造工程自体は従来と大きく変わりませんが、脱炭素製品として販売する以上、どの材料を使い、どのように製造したのかを正しく管理する必要があります。現場としても、グリーンパイプを作る時には、いつもより少し緊張感を持って取り組んでいます。

取り組みを始めてから、どのような変化がありましたか?

最初はグリーンパイプから始まり、現在はGXパイプにも取り組んでいます。製造方法は通常のパイプと変わりませんが、販売単価が上がり、メーカーとしての利益率にも良い影響があります。

製造現場の作業自体は同じですが、求められる管理体制が変わってきたことで、「今までと違うものを作っている」という感覚はあります。新聞掲載などをきっかけに外部からの関心も高まっており、脱炭素製品への注目度は少しずつ上がっていると感じています。

同業他社が苦しんでいる中でも、当社は生産量を大きく落とさず安定してキープできています。脱炭素の取り組みだけが理由とは言い切れませんが、新しい価値を持つ製品を出していることが注目につながっているのは確かだと思います。

CFP算定では、どのような発見がありましたか?

西日本鋼管様の支援によって、CFPを数値化するために必要なルールやガイドラインを整理することができました。製造現場としては従来通り作る一方で、電気使用量や水道使用量、生産量など、当社でしか出せないデータを提供し、それをもとに西日本鋼管様が製品ごとの数値化を進めてくださいました。

具体的には、各ラインごとの使用電力量を計測し、生産量と合わせて1kgあたりのエネルギーを算出するような形です。どの情報を出せばよいのかを西日本鋼管様に導いていただきながら、二人三脚で進めていきました。

数値化して分かった大きなことは、CO₂排出量の約94%が原材料に由来し、製造工程で使う電力は6%未満だったという点です。世間では「脱炭素=まずは節電」と捉えられがちですが、当社の場合は、電力を変える前にまず素材を変える方が効果が大きいことが分かりました。実際に素材をGXスチールに変更することで、製造工程は従来のまま、CO₂排出量を約94%削減できる結果となりました。数値で可視化したからこそ、どこから手を付けるべきかを判断できました。

今後、脱炭素製品をどのように広げていきたいですか?

目標としては、現在製造している製品を数年かけて低炭素製品へ切り替えていきたいと考えています。最初から100%を目指すのは難しいため、まずは大きな効果が出る部分から取り組み、段階的に広げていく考えです。

同じことをしていても、低炭素化によって製品の価値が上がるのであれば、会社としての可能性が広がります。これまで出来上がっていた業界のやり方に対して、根底から新しい価値を加えられるかもしれない。新聞などで取り組みが取り上げられたことで、普段なら直接お会いする機会が少なかった大手企業様やメーカー様から工場見学の依頼も増え、注目度の高さを肌で感じています。高望みをすれば、大手企業様との直接的なつながりや、今までになかった広がりも期待できます。

この低炭素・脱炭素の取り組みは、これまでの業界のやり方に新しい選択肢を加えるものだと感じています。最初から大きなことを狙っていたわけではありませんが、当社の規模であっても西日本鋼管様と組むことで、業界を動かすゲームチェンジャーになり得る可能性があります。利益を求めるだけではなく、社会貢献にもつながる取り組みとして、面白い事業に踏み込んだと考えています。

西日本鋼管をどのような会社だと感じていますか?

販売を担っていただく関係性自体は以前から変わりませんが、求められる内容は時代とともに変わってきています。今までと同じパイプを作っているだけではなく、そこに新しい価値を加えていく話が出てくるようになりました。そうした変化に対して、当社もどこまで協力できるかを考える機会になっています。

西日本鋼管様の強みは、圧倒的な機動力と提案力です。「できない」と逃げずに何にでも突っ込んでくるところがあります。一方で当社には、機械屋から始まり、鉄を知り尽くしているからこそ、お客様の細かな要望に合わせて材料から設計できる技術力があります。お互いにこの強みと魅力を提供し続けられるからこそ、単なる受発注を超えた、対等で強いパートナーシップが築けているのだと思います。脱炭素の取り組みでも、当社が持つ製造の知見と、西日本鋼管様の提案力や数値化の知見が合わさることで、スムーズなやり取りができています。

同じような課題を持つ企業に、どのように紹介したいですか?

新しい価値を作りたい時に、機動力と提案力を持って一緒に動いてくれる会社だと紹介したいです。製造側だけでは分からないルールや市場の動きも含めて伴走してくれるので、単なる販売会社ではなく、時代に合わせた価値を一緒に作る相手だと思います。