COLUMN

建設中の鉄骨建築物を背景に角鋼管と丸鋼管を示し、建築物LCAで使う鋼材データの準備を表したメインビジュアル

建築物LCAで鋼管・鋼材のCO₂を扱うには?調達で準備したいデータ

2026.11.02
グリーンスチール・GX

建築物LCAへの対応で鋼管や鋼材のCO₂排出量を求められたとき、「低炭素材を選べばよい」「メーカーのカタログにある数値を入れればよい」と考えると、算定の途中で手戻りが起こります。建築物LCAで必要なのは、環境に配慮した名称だけではありません。どの製品を何kg使ったのか、その排出量データはどの工程を含み、いつのデータで、どの資料に基づくのかを一つの組として扱います。

調達担当者の役割は、建物全体のLCAを一人で計算することではありません。設計・積算で決まる鋼管の仕様と数量を、供給者から受け取るCO₂データへ結び付け、算定担当者が同じ条件で使える形にして渡すことです。そのためには、製品識別、数量、排出原単位、算定境界、対象期間、データ種別、検証、注文との対応を調達記録へ残します。

以下では、建築物LCAのどこに鋼管・鋼材のデータが入るのか、業界平均値・EPD・CFP・削減証書をどう区別するのか、調達時に何をそろえるのかを実務順にたどります。制度や算定ツールの説明だけで終わらず、見積依頼から納入実績まで更新できるデータの形を判断できる状態を目指します。

建築物LCAは資材製造から解体までを扱う

LCAはライフサイクルアセスメントの略で、製品や建築物を、原材料の調達、製造、使用、廃棄・リサイクルまで通して評価する考え方です。建築物では、建材の製造や施工で生じる排出だけでなく、建物の使用中のエネルギー、修繕・更新、解体・廃棄までを対象にできます。

建築物ホールライフカーボン算定ツールのJ-CATでは、ISO 21930の表記区分に沿い、原材料調達から施工までのA1〜A5、使用段階のB1〜B7、解体・撤去から廃棄物処理までのC1〜C4を扱えます。設計初期の概算、設計から竣工までの標準算定、竣工段階の詳細算定という用途別の方法があり、金額だけでなく資材数量を用いる算定にも対応しています。J-CATの特徴|一般財団法人住宅・建築SDGs推進センター

この全体のうち、鋼管・鋼材の製品製造に関するデータは主にA1〜A3へ関係します。A1は原材料の供給、A2は原材料の製造拠点への輸送、A3は製品の製造です。製鉄所や加工拠点から建設現場までの輸送はA4、現場での施工に伴う排出はA5として分けて扱う考え方が基本になります。

ここで大切なのは、「鋼材の原単位」という一つの数字がA1〜A5をすべて含むとは限らないことです。製鉄所出荷までの値なら現場までの輸送や施工は別途必要です。反対に、納入までを含む製品データへ輸送をもう一度加えると重複します。調達担当者は、どこからどこまでを含む値かを、数値そのものより先に読み取ります。

鋼管・鋼材のCO₂データはどこへ入るか

鋼管を建築物LCAへ反映する出発点は、建物の部材表や見積明細にある数量です。ただし、設計図に記載された長さ、本数、断面寸法を、そのまま排出原単位へ掛けられるとは限りません。原単位が「鋼材1kg当たり」で示されるなら、長さや本数を重量へ変換し、最終的には実際に採用・納入した重量へ更新します。

日本鉄鋼連盟が公開する鉄鋼製品のLCIデータは、機能単位を製鉄所出口での鉄鋼製品1kgとし、原料採掘から鉄鋼製品の出荷までを調査範囲としています。調査対象には電縫管も含まれますが、品種内の寸法や仕様をまとめた日本平均値です。また、計算条件が異なる他のデータベースや他素材との単純比較には使えないと注意されています。鉄鋼業界の取り組み:LCIデータコレクション|一般社団法人日本鉄鋼連盟

したがって、部材表に「構造用鋼管」とだけ書かれていても、使用するデータは自動的に決まりません。円形か角形か、適用規格と種類記号、寸法、表面処理、加工の有無に加え、供給者から製品別データを受け取れるかまで部材表へ補います。製品別データがなければ業界平均等を使う選択肢がありますが、どの優先順位で原単位を選ぶかは、案件の算定ルールに従います。

建築物LCAのA1からA5で鋼管・鋼材データ、輸送、施工を分ける図
図:鋼管・鋼材データをA1〜A5へ分ける考え方

加工やめっきも切り分けます。母材の排出量に切断、穴あけ、溶接、めっき等が含まれていない場合、その追加工程を別途扱う必要があります。供給者の値に加工済み製品として含まれているなら、同じ加工を重ねて計上しません。どの工程までを一つの製品データとするかを資料名と境界欄へ記録します。

原単位は「細かいほど正しい」とは限らない

建築物LCAに使う建材のCO₂原単位には、統計を基にした値、業界を代表する値、個社・個別製品のEPDやCFPなど、異なる粒度があります。EPDは環境製品宣言で、一定の製品分類ルールに基づき、GHG以外を含む複数の環境影響を開示する仕組みです。CFPはカーボンフットプリントで、製品のライフサイクルに伴うGHG排出量をCO₂換算で示します。

国土交通省の検討資料では、建築物LCAで活用しうる積上法のデータとして、EPDに含まれるGHG排出量関係データ、第三者レビューのあるCFP、第三者レビューのないCFPが整理されています。これとは別に、産業連関分析による統計ベースの原単位も示されています。制度とデータ整備は進行中であり、案件で利用可能な原単位、優先順位、検証要件について現行ルールとの照合が欠かせません。建築物LCAの算定で活用しうる建材・設備CO₂等排出量原単位|国土交通省

個別製品のデータは、実際の採用品と対象範囲が一致すれば、供給者や製造方法の違いを反映しやすくなります。しかし、データ年度が古い、対象工場が違う、寸法範囲が異なる、輸送を含むか不明といった状態では、詳しい数値でも案件へそのまま使えません。業界平均は個社差を表しにくい一方、設計初期の概算や個別情報がない段階では、一定のルールの下で全体を把握するために使えます。

「平均値だから悪い」「個社値だから必ず良い」という順位付けではなく、算定段階と目的に合うかで選びます。設計初期は共通の平均値で候補を比較し、採用製品が固まった後に個別データへ更新する方法もあります。その場合、原単位の変更で排出量が変わったのか、設計数量が変わったのかを区別できるよう、各算定時点の版を保存します。

EPD・CFPと削減証書は同じ資料ではない

グリーンスチールを調達する場合、製品のCFPやEPDとは別に、鉄鋼メーカーの削減実績を製品へ割り当てた削減証書を受け取る場合があります。証書は、対象製品や数量へ削減価値を対応させ、購入者がその価値を説明するための資料です。一方、EPDやCFPは、定められた境界・単位で製品の排出量を示すデータです。

この二つを同じ「低い原単位」とみなし、製品CFPから証書の削減量を自社判断で差し引くのは危険です。建築物LCAの算定ルールが、削減証書をどの段階で、どの方法により反映できるかを先に確認します。すでに削減価値を反映した低いCFPを使い、さらに同じ削減証書を差し引けば、同じ価値を二重に反映するおそれがあります。

調達表では、少なくとも「製品排出量データ」と「削減価値・証書」を別の欄へ持たせます。製品排出量側には値、単位、境界、期間、算定方法、検証を記録し、証書側には対象製品、対象数量、削減量、発行者、番号、利用条件、移転・分割の可否、使用先を記録します。算定担当者は、案件ルールに沿ってどちらを使うかを判断できます。

調達で準備したい8項目

算定担当へ渡すデータは、CO₂値だけの一覧では不十分です。次の8項目を一組にすると、見積時、採用時、納入時の更新を追いやすくなります。

  1. 製品識別:品種、規格、種類記号、寸法、表面、加工、メーカー、製造拠点など、対象を区別できる情報
  2. 数量と単位:設計数量、見積数量、発注数量、納入重量、本数、長さ、換算係数
  3. 排出量の値と単位:kg-CO₂e/kg、kg-CO₂e/tなど、分子と分母を省略しない
  4. 算定境界:A1〜A3、製鉄所出荷まで、加工・輸送・施工を含むか
  5. データ期間:操業実績年、算定対象期間、発行日、適用可能期間
  6. データ種別と方法:統計値、業界平均LCI、EPD、CFP、削減証書、配分方法
  7. 検証・根拠:参照規格、PCRやガイドライン、第三者レビューの有無と範囲、資料版
  8. 注文との対応:案件ID、見積番号、発注番号、納品書、ロット、証書番号、データ保存先
鋼管・鋼材の建築物LCAデータを製品、数量、原単位、境界、期間、方法、検証、注文の8項目で受け渡す図
図:調達で準備する建築物LCAデータ8項目

8項目のうち一つが欠けたからといって、ただちにデータを捨てる必要はありません。設計初期なら、製品が未確定で業界平均を使うことがあります。反対に、竣工時の精算では、採用品と納入重量へ更新する方が目的に合います。現在の算定段階、欠けている項目、代替に使ったデータ、次に更新する時点を記録します。

単位変換も記録対象です。原単位がkg-CO₂e/kg、数量がtなら、どちらかへ単位を合わせます。設計図がmや本数の場合は、適用する寸法・単位質量から重量へ変換します。計算式をセルの中だけに隠さず、元単位、換算係数、換算後単位を別列に持たせると、寸法変更時に検算できます。

5段階で見積から納入実績へ更新する

1.案件の算定ルールを先に確認する

最初の問いは、誰が何のために建築物LCAを行うのかです。制度への届出、発注者の自主評価、第三者認証、設計案の比較、Scope3管理など、目的が違えば、必要な精度と原単位の優先順位が変わります。使用するツール、算定段階、対象モジュール、評価期間、データの締切まで聞き取ります。

制度動向については、国土交通省が2028年度を目途に建築物LCAの実施を促す制度の開始を目指し、算定・評価の制度を検討しています。2026年3月27日には、ライフサイクルカーボン評価制度を含む建築物省エネ法改正案の閣議決定が公表されました。ただし、具体的な対象用途・規模等は政令で規定する案であり、公開原稿では検討中の条件を確定した義務として扱いません。建築物LCA制度に関する検討会|国土交通省 建築物省エネ法改正案の閣議決定|国土交通省

2.鋼管の性能条件と環境条件を分ける

構造安全、耐圧、耐食、寸法、加工などの性能条件は、LCAデータがあるからといって緩められません。設計者が指定した規格・種類記号・寸法・表面・検査書類を先に固定し、その条件を満たす候補の中で環境データを比較します。調達担当者だけで別規格や別材へ置き換えないことが基本です。

見積依頼書では「鋼管仕様」と「LCA・環境データ」の欄を分けます。前者には用途、規格、寸法、加工、数量、納期、品質書類を記載し、後者には使用する算定ルール、希望するデータ種別、単位、境界、対象期間、検証、提出時期を記載します。供給者は、性能を満たす候補と、提供できるデータを分けて回答できます。

3.候補ごとのデータ可否を見積と同時に確認する

価格・納期の見積を取った後でCO₂データを追加依頼すると、対象製品や数量が変わり、再見積になる場合があります。最初の依頼時に、個別製品のEPD・CFPがあるか、業界平均等で対応するか、削減証書を付けられるか、資料の発行時期はいつかまで見積回答に含めてもらいます。

回答は「あり/なし」だけにしません。製品別データはあるが今回寸法が対象外、証書は発行できるが納入後、平均データのみ、第三者レビューなしなど、条件を分けて残します。未回答をゼロや不適合にせず、回答待ちとして期限と代替案を管理します。

4.比較できる条件へそろえる

候補を比較するときは、必要な機能を満たす鋼管であることを前提に、数量、単位、境界、データ期間、製品範囲をそろえます。1kg当たりと1t当たりは換算できますが、製鉄所出荷までの値と現場納入までの値は、単位だけそろえても同じ比較にはなりません。追加加工や輸送を共通条件へ補正できるかを見積比較表に示します。

同じ建物でも、設計案の比較と採用品の実績算定ではデータの役割が違います。設計案の比較で一方だけ個社データ、一方だけ粗い統計値を使うと、材料の違いよりデータ粒度の違いが結果へ表れかねません。比較段階では共通データを使い、採用後に個別データへ更新する方法も検討します。

5.納品・加工・設計変更を実績へ反映する

竣工時の算定へつなげるには、発注数量から実際の納入重量と採用品へ正本を切り替えます。設計変更、追加発注、返品、分納、代替品、加工ロスがあれば、どの数量を建物へ使用したかを更新します。証憑も、見積時の一般資料から、実際の注文・納品へ対応する資料へ差し替えます。

案件IDを共通キーにし、部材表、見積、発注書、納品書、ミルシート、EPD・CFP、削減証書、LCA入力表を結びます。資料のファイル名だけでは対象を追いにくいため、発行者、版、対象製品、数量、発行日、確認者を一覧化します。次回案件で同じ資料を流用する場合も、現行版と今回製品への適用を再確認します。

数字を横並びにできる条件

鋼管候補のCO₂データを比較するとき、数字が小さい順に並べられるのは、少なくとも次の条件がそろっている場合です。

  • 同じ用途と必要性能を満たす候補である
  • 機能単位と数量単位が一致している
  • A1〜A3など算定境界が一致している
  • 対象となる製品範囲と製造拠点が分かる
  • データ期間と適用時期が比較可能である
  • リサイクル、共製品、配分等の方法が同等または差を説明できる
  • 削減証書と製品CFPを同じ種類の数値として混在させていない
  • 追加加工、めっき、輸送、施工の扱いがそろっている

条件が違う場合は、「比較不能」「境界調整後に比較」「採用後に個別値へ更新」など、判断の種類を分けます。無理に一つの順位表へまとめるより、性能適合、データ利用可否、排出量、価格・納期を別列で評価する方が、選定理由を説明しやすくなります。

材料Aは個別EPD、材料Bは業界平均という場合、Aの数値が小さいことだけでAが優れているとは決められません。データ作成方法、対象製品、年度、境界の違いを表の別欄へ並べます。逆に、共通の平均値で設計案を比較した後、採用案だけ個別データで精算するなら、各段階の目的が明確です。

仮想案件でデータの更新を考える

構造用鋼管を使う建物を例にします。設計初期には、図面上の寸法と長さから概算重量を求め、案件で定めた共通の鋼材原単位を使ってA1〜A3を試算します。この段階ではメーカーも製造拠点も未確定なので、個別製品の精密な数値を使ったように見せません。

見積段階では、性能条件を満たす候補について、メーカー、製品範囲、提供できるEPD・CFP、削減証書、加工・めっきの範囲、輸送条件まで回答欄を設けます。個別データが使える候補は、設計初期の平均値から置き換えた場合の影響を別表で示します。単に旧値へ上書きせず、設計初期版と見積版を残します。

発注後に寸法や数量が変わったら、部材表と注文を更新します。現場納入までに分納、追加加工、代替品が生じた場合は、納品書と製品データの対象を照合します。竣工時には実納入重量を基礎にし、未使用材や返品、現場外の加工ロスを案件ルールに沿って扱います。

この流れで重要なのは、設計値、見積値、発注値、実績値を一つに塗り替えないことです。各時点の数量と原単位を残せば、設計変更で増えたのか、低炭素材の採用で下がったのか、データを平均から個別へ更新した影響なのかを説明できます。

部門ごとの役割を決める

建築物LCAの鋼材データは、一部門だけでは完結しません。次のように役割を分けると、数値の責任と資料の責任が明確になります。

担当主な役割引き渡す情報
設計・構造必要性能、規格、寸法、設計数量、代替可否を決める部材表、図面、設計変更
積算設計数量を見積単位へまとめる概算重量、数量内訳、算定時点
調達候補、価格、納期、製品データ、証憑可否を確認する見積比較表、発注番号、資料一覧
供給者対象製品、数量、原単位、境界、検証、証憑を示すEPD・CFP、証書、納品書、品質書類
施工・現場納入、返品、追加、代替、施工数量を確認する実績数量、変更記録、納品照合
LCA担当案件ルールへ適用し、計算・版・判断を管理するLCA入力表、算定結果、判断履歴

調達担当が原単位の妥当性を単独で保証する必要はありません。一方で、資料を受け取っただけで終わると、算定担当は対象製品や数量を特定できません。「この資料は、どの見積・発注・納品へ対応するか」を確認し、判断が必要な点を明記して渡します。

設計担当も、環境データがある候補へ自由に置き換えるわけではありません。構造性能、法令、顧客図面、品質要求を満たすことが前提です。低炭素材の提案は、技術承認とLCAデータ確認を並行して進めます。

よくある失敗と直し方

カタログのCO₂値だけを転記する。 カタログ値が今回の製品、製造拠点、期間、境界へ適用できるか不明な場合があります。資料名、版、対象製品、単位、境界、データ年を原単位マスタへ登録し、今回の見積との対応を供給者へ照会します。

長さ・本数と重量を混同する。 鋼管の見積は本数やm、原単位はkg当たりという組み合わせがあります。寸法ごとの単位質量を用いて重量へ変換し、端数、切断、加工ロス、追加材の扱いを決めます。設計重量と納入重量が違う場合は、算定段階に応じて使い分けます。

母材と加工後製品の境界を混ぜる。 鋼材製造までのデータへ、加工・めっき・輸送が含まれると誤認する場合があります。工程ごとに「含む/含まない/未確認」を記録し、未確認をゼロとして扱いません。

削減証書と低い製品CFPを二重に使う。 同じ削減価値が製品CFPへ反映済みなのか、別の証書として受け取るのかを証憑で判別します。建築物LCAでの扱いは案件ルールへ戻り、調達側の判断で二重に差し引きません。

見積時の資料を竣工時まで固定する。 製品、数量、製造拠点、データ版が変わっても、最初の資料を使い続けると実績と合わなくなります。設計、見積、発注、納入の各時点で版を分け、変更理由と承認者を残します。

「データなし」をゼロとして扱う。 原単位がないことは、排出がないことではありません。案件ルールで認められた代替データを使い、未取得範囲と更新予定を示します。結果を見る人が、削減と欠損を混同しないようにします。

2028年度を見据えて今から始めること

制度の最終条件がすべて確定するまで待つと、必要な部材数量や資料を後から集めることになります。まず一案件を試行対象にし、建物のLCA結果を確定することより、どの部門にどのデータがあり、どこで製品とCO₂情報の対応が切れるかを明らかにします。

最初の試行では、主要な鋼材を対象に、部材表から製品識別と数量を取り出し、使える業界平均・EPD・CFPを一覧化します。見積依頼書へ環境データ欄を追加し、供給者の回答形式をそろえます。納入後に実績へ更新できるか、証憑を案件IDで追えるかまで試します。

次に、原単位マスタを作ります。データ名、発行者、値、単位、境界、対象製品、期間、検証、版、保存先、利用できる案件条件を管理します。値だけをコピーした表ではなく、元資料へ戻れることが軸となります。制度やツールが更新されたときは、旧版を消さず、どの案件でどの版を使ったかを残します。

国土交通省の制度検討では、建築物LCAに用いる建材・設備のCO₂等排出量原単位の整備が重要な論点です。今からデータの受け渡しを試しておけば、将来のルール変更時にも、製品・数量・原単位・証拠という基本構造を維持したまま対応しやすくなります。

NNK-GXパイプとCO₂見える化を確認する

西日本鋼管は、GXスチールを使用し、製品のCO₂排出量を見える化する「NNK-GXパイプ」を公開しています。公式ページでは、通常製品と同じ品質・特性を持つこと、製造時の活動をデータで管理すること、ISO 14040・14044およびSuMPO監修の算定ガイドラインに基づくことを説明しています。NNK-GXパイプ|西日本鋼管株式会社

ただし、公式ページの説明だけで、すべての建築物LCA案件へ自動的に使えると判断することはできません。今回の鋼管仕様が対象か、どの単位・境界・期間のデータを受け取れるか、加工や輸送をどう扱うか、案件の算定ルールで利用できるかを個別に照合します。必要なデータ形式と提出時期を見積段階で共有すると、製品提案とLCA対応を同時に検討できます。

CO₂データの準備を進めたい方へ

原材料調達から製品までの見える化支援を確認する

鋼管・鋼材の製品条件と、算定で必要な境界・単位・資料を分けて確認すると、見積後の手戻りを減らせます。個別案件で利用できるデータや支援範囲は、西日本鋼管のCFP事業ページでご確認いただけます。

CFP事業を見る

まとめ:案件IDで製品・数量・原単位・証拠を結ぶ

建築物LCAで鋼管・鋼材のCO₂を扱うときは、「低炭素」という名称や一つの数値だけで判断しません。必要性能を満たす製品を特定し、設計・見積・発注・納入の数量を更新しながら、同じ単位と境界の排出原単位を結び付けます。EPD・CFP、業界平均LCI、削減証書は役割が異なるため、別々に管理し、案件の算定ルールに沿って使用します。

調達段階で準備したいのは、製品識別、数量、排出量の値と単位、算定境界、データ期間、データ種別と方法、検証・根拠、注文との対応の8項目です。これらを案件IDで結べば、算定担当者は数値の出所へ戻れ、設計変更や原単位更新の影響も説明できます。

制度や原単位は今後も更新されます。前回案件の値をそのまま使わず、現行ルールと対象製品への適用を確認する運用を先に作ることが、建築物LCA対応を継続する土台になります。

参考資料